【新規就農】「何を育てるか」だけで決めていない? 5年以上続く農業者が研修先選びで重視したこと
- ishikawa030
- 10 分前
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「あこがれのトマト農家になりたい」「ぶどう栽培で独立したい」 新規就農を目指すとき、まず「何の作物を育てるか」から考えるのは自然なことです。しかし、就農後の現実は想像以上にシビアです。長く経営を続けている先輩農家たちは、準備段階である「研修先選び」の時点で、ある意外なポイントを重視していたことが明らかになりました。
今回は、令和6年に公表された就農実態調査のデータをもとに、就農の先輩たちが「何を見て研修先を決めたのか」を分析し、長く続く農業経営のヒントを探ります。
■多くの就農者が重視するのは「実践的な学び」と「希望作目」

就農前の研修は、技術習得のための最も重要なステップです。 調査によると、直近(就農後1・2年目)の新規就農者が研修先を選んだ理由として最も多かったのは、「実践的に経営や技術が学べると思ったから(25.0%)」でした。次いで「希望作目の研修ができるから(20.2%)」、**「就農相談センターに勧められたから(19.0%)」**と続きます。
この結果からは、最近の就農者が「自分の作りたい作物」だけでなく、「経営や技術を実践的に学びたい」という現実的な視点を強く持っていることがうかがえます。これは非常にポジティブな傾向です。しかし、就農後の経過年数別に詳しく見ていくと、少し気になる「意識のズレ」が浮かび上がってきます。
■「就農3年目の壁」とベテランの視点
ここで、就農してからの年数別に、研修先選びで重視したポイントを比較してみましょう(後述のグラフ参照)。

注目すべきは、就農後5年以上経過して経営を継続している「ベテラン層」と、経営が軌道に乗るかどうかの過渡期にある「就農3〜4年目層」の違いです。
5年以上のベテラン層では、「実践的な経営や技術(22.7%)」を重視した割合が圧倒的に高く、「希望作目(13.3%)」を大きく上回っています。彼らは「何を作るか」よりも「プロとして通用する経営・技術が身につくか」を最優先して研修先を選んでいたのです。
一方で、就農3〜4年目の層を見ると、傾向が逆転しています。「希望作目(19.2%)」がトップとなり、「実践的な経営や技術(15.1%)」の割合は全体の中で最も低くなっています。
これはあくまで推測の域を出ませんが、作目へのこだわりが強すぎると、肝心の「経営者としての足腰」を鍛える視点が疎かになりやすいのかもしれません。3〜4年目といえば、就農直後の資金(補助金など)が切れ始め、真の実力が試される時期です。この時期に直面する課題を乗り越えるカギは、実は就農前の「経営視点での研修選び」にあった可能性があります。
■経営視点での準備が「生存率」を高める

もちろん、作りたい作物への情熱は大切です。しかし、農業は「栽培」であると同時に「経営」でもあります。 今回のデータは、「作目にとらわれすぎず、しっかりとした経営ノウハウを持つ指導者のもとで学ぶこと」の重要性を示唆しています。
これから研修先を探す方は、単に「自分が作りたいものを作っているか」だけでなく、以下のような視点で受け入れ先をチェックしてみてはいかがでしょうか。
その研修先は、技術だけでなく「お金の動き」や「販売戦略」も教えてくれるか?
指導者は、経営者として尊敬できる考え方を持っているか?
就農相談センターなどの第三者機関が推奨する、実績ある研修先か?(ベテラン層の約2割はセンターの勧めを重視しています)
「何を育てるか」以上に「誰から、どのような経営を学ぶか」。その選択が、5年後、10年後のあなたを支える大きな財産になるはずです。


