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新規就農者は誰に相談している?農地・販売先・資金の情報収集ルートのランキング

「農業を始めたい」と考えたとき、多くの人が最初にぶつかるのは、具体的に誰に相談すればいいのか、農地や販売先、資金の情報をどこから集めるのか、という問題です。

この記事では、全国農業会議所の「新規就農者の就農実態に関する調査」データをもとに、新規就農者が 農地・販売先・住宅・資金などの経営資源について、どの情報源をどれくらい利用しているのか を数字で整理します。

■資金調達のトップは日本政策金融公庫(29.0%)

新規就農者の資金調達先の割合の高い順に並べると、

  • 日本政策金融公庫:29.0%

  • 市町村:27.3%

  • 農協:26.3%

  • 農業普及指導センター:15.7%

  • 親や兄弟、親類、知人:13.0%


となっており、公庫・市町村・農協の3者がほぼ横並びの「三強」になっています。

報告書本文では、日本政策金融公庫の利用割合が前回調査から大きく伸びる一方、親類・知人からの資金情報は減少していることも示されています。

つまり、就農資金に関しては「身内から借りる/相談する」より、「制度として用意された公的融資や支援メニューを使う」方向にシフトしていると考えられます。


■経営資源別にみる情報収集先の特徴


同じ調査では、次の5つの経営資源について、「どこから情報を得たか」が整理されています。

  • 地域の選択

  • 農地の確保

  • 販売先の確保

  • 住宅の確保

  • 資金の確保

ここでまず目に付くのは、「親や兄弟、親類、知人」 の存在感です。

  • 地域の選択:24.9%(1位)

  • 農地の確保:28.0%

  • 販売先の確保:20.4%

  • 住宅の確保:21.6%(1位)

と、ほぼすべての項目で上位に入っています。新規就農と言っても、完全に「コネなし」で飛び込むのではなく、身近な人からの口コミや紹介が、今でもかなり重要な起点になっていることが分かります。

一方で、項目ごとに「主役」になる公的機関が違う点も重要です。


一方で、項目ごとに「主役」になる公的機関が違う点も重要です。

  • 地域の選択

    • 市町村:20.2%

    • 都道府県段階の就農相談窓口:17.0%

    • 研修先:16.9%

  • 農地の確保

    • 市町村:30.2%

    • 親類・知人:28.0%

    • 研修先:27.1%

    • 農業委員会:25.9%

    • 一般農家・農業法人:22.7%

  • 販売先の確保

    • 農協:48.8%(突出してトップ)

    • 親類・知人:20.4%

    • 研修先:19.2%

    • 一般農家・農業法人:15.9%

    • インターネット:14.7%

  • 住宅の確保

    • 親類・知人:21.6%(トップだが前回より低下)

    • 市町村:15.8%

    • 不動産業者:12.8%

こうして見ると、「何を確保したいか」によって、相談すべき相手が変わることがはっきり見えてきます。


■親類・知人ネットワークと公的機関の分業構造


以下の図は行に情報源、列に5つの経営資源を配置したヒートマップです。

濃い色ほど利用割合が高く、どの情報源がどの分野に強いのかが直感的に分かります。


ざっくり整理すると、次のような「分業構造」が浮かび上がります。

  • 親や兄弟、親類、知人

    • ほぼ全ての列でそこそこの濃さ → 「横断的なオールラウンダー」

  • 市町村

    • 地域・農地・住宅・資金で濃い → 「総合相談窓口」的な役割

  • 農業委員会

    • 農地でだけ濃い → 「農地特化の専門機関」

  • 農協

    • 販売先と資金で濃い → 「販売+金融のハブ」

  • 日本政策金融公庫

    • 資金の列だけ真っ黒に近い → 「融資特化のプロ」


つまり、新規就農者は

親類・知人ネットワークで全体の方向性を探りつつ、各分野の要所で専門機関にピンポイントでアクセスしている

という動きをしていると考えられます。


また、研修先インターネットも、地味ですが重要なプレイヤーです。

研修先は、地域の選択(16.9%)、農地の確保(27.1%)、販売先の確保(19.2%)、住宅(7.3%)、資金(5.9%)と、どの列にも一定の割合で登場します。これは、研修が単なる技術習得の場ではなく、

  • 情報

  • 人脈

  • 農地・販売先・住宅・資金へのアクセス

をまとめて手に入れる「総合ハブ」になっていることを意味します。

インターネットも、地域の選択(14.6%)、販売先の確保(14.7%)、住宅の確保(8.9%)などで使われており、場所選び・売り先探し・住まい探しに効いていることが分かります。しかし、農地や資金についてはネットだけでは完結しづらく、結局は現場の窓口・人とのつながりが不可欠、という現実も見えてきます。


■就農希望者はどう動くべきか


最後に、このデータから見える実務的なポイントを整理します。

就農希望者側の動き方

  1. まずは身近な人に「就農したい」と言う

    • 親・親類・知人・地元農家に話すことで、地域・農地・住宅の情報が一気に開ける可能性がある。

  2. 目的別に窓口を叩く

    • 農地 → 市町村+農業委員会

    • 販売先 → 農協(+インターネット・流通・小売)

    • 資金 → 日本政策金融公庫+市町村+農協

  3. できるだけ早く研修に入る

    • 技術だけでなく、人脈と情報のハブとして機能しているので、早い段階で押さえておきたい。


新規就農の難易度は、「根性」よりもどこに、どの順番で相談に行くかで大きく変わります。

※本記事のデータは、全国農業会議所『新規就農者の就農実態に関する調査結果(2021年度)』(https://www.be-farmer.jp/uploads/statistics/YV447s7CQjwBYJ3OtEht202203231858.pdf)および2013・2016年度調査の集計表をもとに作成しています。

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