新規就農者は誰に相談している?農地・販売先・資金の情報収集ルートのランキング
- ishikawa030
- 22 時間前
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「農業を始めたい」と考えたとき、多くの人が最初にぶつかるのは、具体的に誰に相談すればいいのか、農地や販売先、資金の情報をどこから集めるのか、という問題です。
この記事では、全国農業会議所の「新規就農者の就農実態に関する調査」データをもとに、新規就農者が 農地・販売先・住宅・資金などの経営資源について、どの情報源をどれくらい利用しているのか を数字で整理します。
■資金調達のトップは日本政策金融公庫(29.0%)

新規就農者の資金調達先の割合の高い順に並べると、
日本政策金融公庫:29.0%
市町村:27.3%
農協:26.3%
農業普及指導センター:15.7%
親や兄弟、親類、知人:13.0%
となっており、公庫・市町村・農協の3者がほぼ横並びの「三強」になっています。
報告書本文では、日本政策金融公庫の利用割合が前回調査から大きく伸びる一方、親類・知人からの資金情報は減少していることも示されています。
つまり、就農資金に関しては「身内から借りる/相談する」より、「制度として用意された公的融資や支援メニューを使う」方向にシフトしていると考えられます。
■経営資源別にみる情報収集先の特徴
同じ調査では、次の5つの経営資源について、「どこから情報を得たか」が整理されています。
地域の選択
農地の確保
販売先の確保
住宅の確保
資金の確保

ここでまず目に付くのは、「親や兄弟、親類、知人」 の存在感です。
地域の選択:24.9%(1位)
農地の確保:28.0%
販売先の確保:20.4%
住宅の確保:21.6%(1位)
と、ほぼすべての項目で上位に入っています。新規就農と言っても、完全に「コネなし」で飛び込むのではなく、身近な人からの口コミや紹介が、今でもかなり重要な起点になっていることが分かります。
一方で、項目ごとに「主役」になる公的機関が違う点も重要です。
一方で、項目ごとに「主役」になる公的機関が違う点も重要です。
地域の選択
市町村:20.2%
都道府県段階の就農相談窓口:17.0%
研修先:16.9%
農地の確保
市町村:30.2%
親類・知人:28.0%
研修先:27.1%
農業委員会:25.9%
一般農家・農業法人:22.7%
販売先の確保
農協:48.8%(突出してトップ)
親類・知人:20.4%
研修先:19.2%
一般農家・農業法人:15.9%
インターネット:14.7%
住宅の確保
親類・知人:21.6%(トップだが前回より低下)
市町村:15.8%
不動産業者:12.8%
こうして見ると、「何を確保したいか」によって、相談すべき相手が変わることがはっきり見えてきます。
■親類・知人ネットワークと公的機関の分業構造
以下の図は行に情報源、列に5つの経営資源を配置したヒートマップです。
濃い色ほど利用割合が高く、どの情報源がどの分野に強いのかが直感的に分かります。

ざっくり整理すると、次のような「分業構造」が浮かび上がります。
親や兄弟、親類、知人
ほぼ全ての列でそこそこの濃さ → 「横断的なオールラウンダー」
市町村
地域・農地・住宅・資金で濃い → 「総合相談窓口」的な役割
農業委員会
農地でだけ濃い → 「農地特化の専門機関」
農協
販売先と資金で濃い → 「販売+金融のハブ」
日本政策金融公庫
資金の列だけ真っ黒に近い → 「融資特化のプロ」
つまり、新規就農者は
親類・知人ネットワークで全体の方向性を探りつつ、各分野の要所で専門機関にピンポイントでアクセスしている
という動きをしていると考えられます。
また、研修先とインターネットも、地味ですが重要なプレイヤーです。
研修先は、地域の選択(16.9%)、農地の確保(27.1%)、販売先の確保(19.2%)、住宅(7.3%)、資金(5.9%)と、どの列にも一定の割合で登場します。これは、研修が単なる技術習得の場ではなく、
情報
人脈
農地・販売先・住宅・資金へのアクセス
をまとめて手に入れる「総合ハブ」になっていることを意味します。
インターネットも、地域の選択(14.6%)、販売先の確保(14.7%)、住宅の確保(8.9%)などで使われており、場所選び・売り先探し・住まい探しに効いていることが分かります。しかし、農地や資金についてはネットだけでは完結しづらく、結局は現場の窓口・人とのつながりが不可欠、という現実も見えてきます。
■就農希望者はどう動くべきか
最後に、このデータから見える実務的なポイントを整理します。
就農希望者側の動き方
まずは身近な人に「就農したい」と言う
親・親類・知人・地元農家に話すことで、地域・農地・住宅の情報が一気に開ける可能性がある。
目的別に窓口を叩く
農地 → 市町村+農業委員会
販売先 → 農協(+インターネット・流通・小売)
資金 → 日本政策金融公庫+市町村+農協
できるだけ早く研修に入る
技術だけでなく、人脈と情報のハブとして機能しているので、早い段階で押さえておきたい。
新規就農の難易度は、「根性」よりもどこに、どの順番で相談に行くかで大きく変わります。
※本記事のデータは、全国農業会議所『新規就農者の就農実態に関する調査結果(2021年度)』(https://www.be-farmer.jp/uploads/statistics/YV447s7CQjwBYJ3OtEht202203231858.pdf)および2013・2016年度調査の集計表をもとに作成しています。


