新規就農者はなぜ農業を選ぶのか?データで見る就農理由トップ5
- ishikawa030
- 2 日前
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新規就農を考えている人から、必ず聞かれる質問があります。「みんな、どういう理由で会社を辞めて農業に入っているんですか?」
この記事では、全国農業会議所の「新規就農者の就農実態に関する調査」データを使って、新規就農者が「なぜ農業を選んだのか」を数字で整理します。
■新規就農者が農業を選んだ理由トップ5

2021年調査の「就農した理由(3つまで選択)」を集計し、理由ごとの割合を高い順に並べると、トップ5は次のようになります。
1位:自ら経営の采配を振れるから 51.6%
2位:農業が好きだから 36.4%
3位:農業はやり方次第でもうかるから 35.2%
4位:時間が自由だから 28.3%
5位:会社勤めに向いていなかったから 22.1%
まず目立つのは、「好きだから」「自然が好きだから」よりも前に、経営の裁量や収益性に関する理由が来ている ことです。
「自分で判断して、自分の責任でやりたい」「やり方を工夫すれば、ちゃんともうかる仕事として成立させたい」
こういう“ビジネスとしての農業”をイメージしている層が、新規就農者の中でかなり厚いことが、数字からはっきり見えます。
一方で4位・5位には、「時間が自由だから」「会社勤めに向いていなかったから」と、働き方そのものを変えたい という理由が並びます。
会社員としての働き方に限界を感じ、「場所や時間に縛られずに働きたい」「自分のペースで生きたい」という欲求が、就農の背中を押しているケースも少なくありません。
■10年間でどう変わった?4つの理由の推移
次に、価値観の変化がよく見える4つの理由を抜き出して、2013→2016→2021年の推移を折れ線グラフにしました。

「農業が好きだから」37.7% → 40.4% → 36.4% と、ここ10年で見るとやや減少傾向。“好き”は依然として強い理由ですが、比重は少しずつ下がっています。
「会社勤めに向いていなかったから」13.8% → 16.6% → 22.1% と、着実に増加。会社員という働き方に違和感を持ち、「別の生き方」を求めて農業に移る人が増えています。
「有機農業をやりたかったから」14.0% → 11.9% → 10.8% と、じわじわと低くなっています。
「都会の生活が向いていなかったから」2.5% → 3.9% → 5.2% と、ゆっくりですが確実に増加。都市部のストレスや生活コストから距離を取りたい、という動きが読み取れます。
この4本の線を並べて見ると、
「夢や理想としての農業」だけでなく、働き方や暮らし方のリセット先としての農業
という側面が、年々強くなってきていることが分かります。
■10年間でどう変わった?4つの理由の推移
まとめると、新規就農者の多くは、
「好きだから」だけで飛び込んでいるわけではなく、自分で采配できる仕事としての農業 に魅力を感じ、同時に、会社員的な働き方や都市生活から距離を取りたいという複数の理由を組み合わせて就農している、というのが実態です。
だからこそ、これから就農を考える人に必要なのは、
どの作目・どの規模なら、現実的に「もうかる経営」が組めるのか
どこまで自分の時間を確保できるのか
労働時間や肉体的負荷をどうやって減らすか
といった具体的な数字と仕組みです。
この記事のグラフは、「みんながどんな理由で農業を選んでいるか」を客観的に把握するための入り口です。ここから先は、自分自身の価値観と生活設計に合わせて、「どんな農業なら続けられるのか」を冷静に組み立てていく必要があります。
※本記事のデータは、全国農業会議所『新規就農者の就農実態に関する調査結果(2021年度)』(https://www.be-farmer.jp/uploads/statistics/YV447s7CQjwBYJ3OtEht202203231858.pdf)および2013・2016年度調査の集計表をもとに作成しています。


