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新規就農で失敗を防ぐために|就農前に確認したい地域・家族・労働力の現実

8月26日
読了時間: 6分

新規就農では、作物や農地、設備のことを先に考えがちです。しかし、実際に経営を始める前には、「どこで暮らすのか」「誰が働くのか」「家族はどこまで協力できるのか」まで含めて考える必要があります。

一般社団法人全国農業会議所・全国新規就農相談センターが2025年3月に公表した『新規就農者の就農実態に関する調査結果-令和6年度-』を見ると、新規参入者には、親元就農者とは異なる特徴があります。

これらの違いは、どちらが有利かという話ではありません。新規参入者が、就農前に何を確認しておくべきかを考える材料になります。


■新規参入者の84.1%は農家出身ではない

新規参入者では、「農家出身ではない」が84.1%を占めています。一方、親元就農者では「農家出身である」が73.0%です。

この違いは、新規参入者の場合、農地や施設だけでなく、地域とのつながり、栽培技術、資材の購入先、修理を依頼できる業者、出荷先などを、自分で構築する場面が多くなる可能性を示しています。

もちろん、農家出身だから必ず農地や設備を引き継げるわけではなく、新規参入者でも充実した支援を受けられる場合があります。この調査だけで、個々の条件までは確認できません。

だからこそ、新規就農では「何を持っていないか」を就農前に洗い出すことが重要です。


■就農地は農地の条件だけで決めない

新規参入者の就農地域は、関東・東山が26.8%で最も高く、九州18.8%、東海10.5%、東北9.7%、近畿9.7%と続きます。

一方、親元就農者では東北26.4%、九州25.7%が高く、関東・東山13.7%、四国11.7%となっています。

ただし、この地域分布だけから「この地域なら就農しやすい」と判断することはできません。地域を選んだ理由や経営成績までは、この調査では確認できないからです。

就農候補地を見るときは、農地価格や気候だけでなく、住居、交通、家族の生活、出荷先、資材調達、行政やJAなどの相談先まで含めて比較する必要があります。


■新規参入者の約6割は、以前の生活圏に近い地域で就農している

新規参入者では、就農前と同じ都道府県内で就農した人が37.7%、別の都道府県ではあるものの同じ地域ブロック内で就農した人が23.9%です。

合計すると61.6%が、就農前と同じ地域ブロック内で就農しています。残る38.4%が、別の地域ブロックへ移動した計算です。

親元就農者でも、同じ都道府県内が42.7%、同一地域ブロック内の別都道府県が14.6%で、合計57.3%となっています。

新規参入だからといって、全国どこへでも移住する人が中心というわけではありません。

就農地選びでは、「作物に適しているか」だけでなく、「現在の生活圏からどの程度離れるのか」を具体的に考える必要があります。家族や友人との距離、配偶者の仕事、医療、教育、買い物、交通なども、日々の生活に直結します。


■新規参入者は30~49歳が78.7%

新規参入者の就農時年齢は、30~39歳が44.8%、40~49歳が33.9%です。合計すると30~49歳が78.7%を占めます。

親元就農者では30~39歳が41.3%で最も多く、29歳以下も27.3%います。29歳以下の割合は、新規参入者の13.0%より14.3ポイント高くなっています。

年齢だけで資金力や成功率を判断することはできません。

ただし、30代・40代で新規就農する場合には、農業経営とは別に、住宅費、子育て、保険、生活費などの支出を抱えているケースも考えられます。

設備投資の返済計画を立てるときは、農業部門だけの収支を見るのではなく、自分の生活に毎月いくら必要なのかも分けて計算しておく必要があります。


■「家族がいる」ことを労働力として計算しない

新規参入者の同居世帯員数は平均3.0人、親元就農者では平均3.9人です。

配偶者がいる割合も、新規参入者74.8%、親元就農者71.3%と、どちらも7割を超えています。

しかし、ここで注意したいのが、配偶者がいることと、農作業を担当できることは別だという点です。

「配偶者がいる回答者」を母数として見ると、配偶者も一緒に農業をしている割合は、新規参入者47.5%、親元就農者40.6%でした。

一方、配偶者が他の仕事に従事している割合は、新規参入者30.2%、親元就農者37.5%です。

つまり、「妻や夫がいるから2人で農業をできる」と最初から計算するのではなく、実際に何時間働けるのかを確認する必要があります。

例えば、配偶者が平日は別の仕事をしているなら、「平日は本人1人、休日のみ補助」という前提で作業計画を作った方が現実的です。


■就農前に「1人でも回せるか」を一度計算する

本気で新規就農を考えるなら、一度、家族労働をほとんど期待しない条件で作業計画を作ってみることをおすすめします。

確認したいのは、単純な人数ではありません。

本人が1週間に働ける時間、配偶者が確保できる時間、繁忙期に必要な追加人数、朝夕に必ず発生する作業、休日でも止められない作業などを具体的に整理します。

その中から、灌水、換気、見回り、記録など、毎日繰り返す定型作業を洗い出します。

人手不足への対策は、人を増やすことだけではありません。作業そのものを減らしたり、自動化したり、遠隔から確認できるようにしたりすることで、必要な労働時間を抑えられる場合があります。


■高額設備を一括導入する前に、必要な部分を分ける

新規就農では、農地、施設、農機、資材、住居など、開始時に多くの支出が発生します。

そのため、自動化についても「全部自動化するか、何もしないか」の2択で考える必要はありません。

まずは、自分の経営で特に拘束時間が長い作業や、人が毎日対応しなければならない作業を特定します。

そのうえで、既存設備を残しながら必要な部分だけを後付けできるか、小さく導入して効果を確認できるかを検討します。

借入金で設備を導入する場合には、導入価格だけでなく、月々の返済額、維持費、故障時の費用、追加投資まで含めて判断することが重要です。


■新規就農前に確認しておきたい5つの数字

就農計画を作る際は、少なくとも次の数字を具体化しておきましょう。

  1. 毎月必要な生活費

  2. 借入金の毎月の返済額

  3. 本人と家族が確保できる週当たりの作業時間

  4. 繁忙期に追加で必要となる人数と人件費

  5. 自動化によって削減できる可能性がある作業時間

「家族が手伝ってくれる」「忙しくなったら人を雇う」といった曖昧な前提ではなく、時間と金額に置き換えることで、計画上の弱点が見えやすくなります。


■GREEN OFFSHOREのご案内

農業経営では、就農地や資金計画だけでなく、限られた人員で日々の作業をどう回すかも重要です。

GREEN OFFSHOREでは、既存のハウスに後付けしやすい低コストな農作業の自動化に取り組み、灌水や換気窓などに対応するスマート農業ソリューションを提供しています。

高額な環境制御設備を最初から一括導入するのではなく、既存設備を活用しながら、負担の大きい部分から段階的に自動化を検討する選択肢があります。

出典一般社団法人全国農業会議所・全国新規就農相談センター『新規就農者の就農実態に関する調査結果-令和6年度-』令和7(2025)年3月公表


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