離れたハウスを何度も巡回していませんか?農業法人の複数圃場管理を効率化する方法

農業法人が事業を拡大するとき、栽培面積やハウスの棟数を増やすことは重要な経営戦略の一つです。
しかし、圃場が増えると同時に、管理上の課題も増えていきます。
例えば、
・ハウスごとに灌水設備を操作する必要がある ・離れた圃場まで車で移動しなければならない ・各ハウスの換気設備を個別に管理している ・圃場ごとに異なるメーカーの制御盤を使用している ・担当者によって設備の操作方法が異なる
といった問題です。
1棟や2棟であれば問題にならなくても、5棟、10棟と増えていくと、管理に必要な時間や人員が大きな負担になります。
そこで重要になるのが、複数圃場をできるだけ少ない人員で管理できる仕組みを構築することです。
■圃場が増えるほど「移動時間」が経営コストになる
複数圃場を運営する場合、見落としやすいのが移動時間です。
例えば、3か所の圃場を管理しており、それぞれの設備操作や確認のために1日20分の移動時間が発生しているとします。
20分 × 3か所 = 1日60分
年間300日稼働すると、
60分 × 300日 = 年間300時間
になります。
仮に人件費を時給1,500円として換算すると、
300時間 × 1,500円 = 年間45万円
です。
これは仮定に基づく計算ですが、設備操作や確認のための移動だけでも、年間では相当な時間が使われる可能性があることを示しています。
ただし、遠隔化しても作物の観察や設備点検のための現地訪問は必要です。移動時間のすべてを削減できるわけではありません。
それでも、設備を操作するためだけの移動を減らすことには、経営上の価値があります。
■ハウスごとに制御盤が違うと管理が複雑になる
農業法人では、圃場の取得時期や設備導入時期によって、異なるメーカーの制御盤が設置されていることがあります。
例えば、
A圃場:タイマー式の灌水制御盤
B圃場:別メーカーの灌水コントローラー
C圃場:電動側窓の制御盤
という構成です。
それぞれの設備は正常に動いていても、操作方法や設定方法が異なれば、管理担当者の負担になります。
さらに、新しい従業員が入社するたびに、それぞれの設備の操作方法を教えなければなりません。
そこで検討したいのが、既存制御盤を活用しながら、遠隔操作や管理方法をできるだけ共通化することです。
すべての制御盤を同じメーカーへ交換するのではなく、既存設備の外部接点などを利用して遠隔制御を追加できる場合があります。
ただし、接続可否は制御盤のメーカー、型番、外部入力仕様によって異なるため、事前確認が必要です。
■「複数圃場の一元管理」とは何を意味するのか
複数圃場の一元管理を考えるときには、管理対象を整理する必要があります。
大きく分けると、次の3つがあります。
① 設備の状態を把握する
各圃場の温度や湿度、設備の稼働状況などを遠隔から確認することです。
② 設備を遠隔操作する
灌水設備や換気窓などを、現地へ行かずに操作できるようにすることです。
③ 管理方法を標準化する
圃場ごとの操作ルールや担当者、異常時の対応方法を整理することです。
これらを組み合わせることで、複数圃場を管理しやすい体制を構築できます。
ただし、一元管理といっても、すべての設備を同じ条件で動かすことが正解とは限りません。
作物の種類や生育段階、ハウスの構造によって、必要な制御条件は異なります。
管理の仕組みは共通化しながら、栽培条件は圃場ごとに設定できることが重要です。
■灌水設備の遠隔化から始める方法
複数圃場の管理を効率化する場合、最初に検討しやすい設備の一つが灌水設備です。
例えば、
A圃場で灌水を開始する ↓ B圃場へ移動して灌水設備を操作する ↓ C圃場へ移動する ↓ 再びA圃場へ戻って設備を停止する
といった運用では、設備操作のために多くの移動が発生します。
遠隔操作を導入できれば、現地へ移動しなくても設備のON・OFFを行えるようになります。
GREEN OFFSHOREの「GO SWITCH」は、灌水設備などの遠隔操作・自動制御に対応したシステムです。
既存設備の仕様に応じて、制御盤や電磁弁などを活用した後付け導入を検討できます。
GO SWITCH
既存設備を残しながら遠隔化できれば、設備全体の更新を伴わずに管理方法を改善できる可能性があります。
■側窓の開閉も複数圃場管理の負担になる
施設園芸では、側窓の開閉も重要な管理作業です。
特に複数棟を管理する場合、
「朝に各ハウスの窓を開ける」
「気温が下がったら閉める」
「天候が変わったので再度確認する」
といった作業が発生します。
ハウスごとに操作する必要があれば、棟数が増えるほど作業量も増えていきます。
こうした場合、側窓の電動化や遠隔操作が有効な選択肢になります。
GREEN OFFSHOREでは、側窓の開閉に対応した「GO SWITCH+(側窓モデル)」を提供しています。
GO SWITCH+(側窓モデル)
既存ハウスへの導入については、巻上設備やモーター、制御盤などの仕様確認が必要ですが、後付けによる遠隔化を検討できます。
■離れた圃場では通信環境の確認も重要
複数圃場を遠隔管理する場合、設備そのものだけでなく通信環境も重要です。
例えば、
・圃場によってWi-Fiが届かない ・インターネット回線が設置されていない ・通信が不安定になる場所がある ・既存の制御盤が遠隔操作に対応していない
といった問題が考えられます。
そのため、複数圃場の遠隔管理を導入する際には、各圃場の通信環境を事前に確認する必要があります。
また、通信障害が発生した場合に、現地で手動操作できるかどうかも重要です。
遠隔管理を導入するからといって、すべての操作をインターネットだけに依存させる必要はありません。
既存のタイマーや制御盤を活用し、通信障害時の代替運用を確保できる構成も検討することが重要です。
■複数圃場を管理するなら「担当者の役割」も整理する
設備を遠隔操作できるようになっても、それだけで管理体制が完成するわけではありません。
例えば、
「誰が設備の設定を変更するのか」
「異常が発生したときに誰が現地へ向かうのか」
「灌水条件の変更は農場長が判断するのか」
といった運用ルールも必要です。
特に複数拠点を持つ農業法人では、現場担当者と本部管理者の役割を明確にすることが重要になります。
本部では各圃場の情報を確認し、現場では作物の観察や設備点検を行う。
このように、遠隔で行える業務と現地でしか行えない業務を整理することで、効率的な管理体制を構築しやすくなります。
■天候予測を活用して圃場ごとの管理判断を支援する
複数圃場を管理する場合、それぞれの圃場で天候条件が異なることもあります。
特に離れた場所にハウスがある場合、すべての圃場を同じ条件で管理することが適切とは限りません。
そこで活用したいのが、気象予測情報です。
GREEN OFFSHOREの「このあとてんき」では、今後の気温や日射量などの気象予測情報を確認できます。
このあとてんき
気象情報を確認しながら、各圃場で必要な灌水や換気の判断を行うことで、現地へ移動せずに対応できる場面を増やせる可能性があります。
ただし、予測情報だけでハウス内の実際の状態を完全に把握できるわけではありません。
必要に応じて現地センサーや作物の状態を確認し、適切な栽培管理につなげることが重要です。
■圃場を増やす前に管理体制を整える
農業法人が規模拡大を検討するときには、栽培面積や売上だけでなく、管理体制も重要な判断材料になります。
例えば、
現在5棟のハウスを管理している農業法人が、さらに5棟を追加するとします。
その際、従来と同じように各ハウスを巡回して設備を操作する仕組みでは、作業負担が増加します。
一方で、設備の遠隔操作や管理方法の標準化が進んでいれば、追加するハウスについても同じ管理方針を適用しやすくなります。
もちろん、栽培面積が増えれば、収穫や出荷、病害虫管理などの作業も増えます。
遠隔管理だけで、すべての人手不足を解決できるわけではありません。
それでも、規模拡大の前に設備管理の仕組みを整えておくことは、将来的な管理負担の増加を抑えるための有効な対策になります。
■複数圃場の遠隔管理は「全設備の更新」から始めなくてもよい
複数圃場の一元管理というと、大規模なシステム導入を想像するかもしれません。
しかし、必ずしも最初からすべての設備を更新する必要はありません。
例えば、
① 既存設備と制御盤の仕様を確認する
② 遠隔化できる灌水設備を選定する
③ 側窓など日常的に操作する設備を追加する
④ 各圃場の管理方法を整理する
⑤ 必要に応じて監視機能や制御機能を拡張する
というように、段階的に進めることができます。
この方法であれば、現在使用している設備を活かしながら、管理体制を改善できる可能性があります。
重要なのは、最初からすべてを統合することではなく、圃場が増えても管理負担が過度に増えない仕組みを構築することです。
■GREEN OFFSHOREのスマート農業ソリューション
GREEN OFFSHOREでは、既存の農業設備を活用した後付け型の遠隔制御・自動化システムを提供しています。
灌水設備などの遠隔操作には「GO SWITCH」、側窓の開閉には「GO SWITCH+(側窓モデル)」を利用できます。
GO SWITCH
GO SWITCH+(側窓モデル)
また、農作業や環境制御の判断材料として利用できる気象予測サービス「このあとてんき」も提供しています。
このあとてんき
複数圃場を運営する農業法人では、既存設備をどこまで活用できるかを確認しながら、必要な設備から遠隔化・自動化を進めることが重要です。


