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農家出身者の就農は学卒だけではない 令和5年新規雇用就農者の年齢構造を読む


令和5年の新規雇用就農者のうち、農家出身者は1,200人となっている。そのうち、新規学卒就農者は120人であり、農家出身の新規雇用就農者全体の1割にとどまる。

農家出身者というと、家業として農業に関わり、学校卒業後にそのまま農業へ入る姿を想像しやすい。しかし、今回の数字を見る限り、そのような学卒直後の就農は一部であり、農家出身者の雇用就農はより幅広い年齢層によって構成されている。

つまり、「農家出身=若いうちに農業へ入る」という単純な構図ではない。農家出身であっても、就農のタイミングや入り方は多様化している。


■年齢構成は30代が最多、20代から高齢層まで分布

農家出身の新規雇用就農者1,200人を年齢別に見ると、最も多いのは30~39歳の260人である。次いで20~29歳が240人、65歳以上が200人、40~49歳が190人と続く。

49歳以下は700人で全体の過半を占める一方、50歳以上も500人いる。若年層だけでなく、中高年層や高齢層にも一定の就農者が存在している点が特徴である。

この構成から見えるのは、農家出身の雇用就農が、単なる新卒採用や若年層の就職先としてだけでは説明できないということである。20代、30代の就農者が中心ではあるものの、40代以降、さらには65歳以上にも一定の人数がいる。農家出身者の雇用就農は、人生のさまざまな段階で農業に関わる動きとして捉える必要がある。


■新規学卒就農者は20代以下に集中

一方で、新規学卒就農者120人の年齢構成は非常に明確である。15~19歳が10人、20~29歳が110人であり、30代以上は確認されない。

つまり、新規学卒就農者はほぼ20代以下に集中している。これは当然ともいえるが、農家出身者全体の年齢構成と比べると大きな違いである。農家出身者全体では30代が最多であり、40代以上にも一定数が存在するのに対し、学卒就農者は若年層に限定されている。

ここから分かるのは、学卒就農が農家出身者の重要な入口である一方、それだけが主流ではないということだ。


■学卒就農だけでは担い手構造を説明できない

新規学卒就農者は120人であり、農家出身の新規雇用就農者1,200人のうち1割に過ぎない。さらに、20~29歳の農家出身者240人のうち、新規学卒就農者は110人である。20代であっても、学卒直後ではない形で農業に入っている人が相当数いることになる。

この点は重要である。農業の担い手確保を考える際、新卒者だけに注目していては実態を見誤る。農家出身者であっても、学校卒業後すぐに農業へ入る人ばかりではない。一定期間を経てから雇用就農する人、別の仕事や経験を経て農業へ戻る人、家族や地域との関係の中で農業に関わる人など、複数の経路が存在していると考えられる。

農業人材の確保には、若年層の就農支援だけでなく、20代後半以降や30代以降でも入りやすい雇用環境を整える視点が欠かせない。


■農家出身者の就農経路も多様化している

今回のデータは、農家出身者の就農も一様ではないことを示している。農家の子がそのまま農業を継ぐという従来型の見方だけでは、現在の雇用就農の実態は捉えきれない。

農家出身者であっても、就農の時期は20代に限られず、30代、40代、さらに高齢層まで広がっている。農業を支える人材は、家業継承だけでなく、雇用という形を通じて多様なタイミングで農業に関わっている。

今後の担い手確保を考えるうえでは、「農家出身者をどう確保するか」だけでなく、「どの年齢層が、どのタイミングで、どのような形で農業に入れるのか」を具体的に設計する必要がある。学卒就農は重要な入口である。しかし、それだけでは農業の担い手全体を支えるには不十分である。


こうした人材の受け入れを現実的に進めるうえでは、雇用環境の整備とあわせて、設備導入に伴う初期コストをどう抑えるかも重要になる。

導入コストを抑えることも、現場に関わるうえで欠かせない視点である。例えば、愛知県豊橋市の「アグリテック導入支援補助金」では、GO SWITCH等の導入に対し、補助率1/2、上限50万円が適用された。

このような支援制度は各自治体で用意されており、内容も年度や公募時期によって更新される。初期投資をそのまま負担として受け止めるのではなく、活用可能な制度を前提に導入計画を組み立てることで、設備導入や現場改善のハードルは現実的な水準まで下げることができる。最新の公募情報を継続的に確認し、使える制度を確実に取り入れていくことが重要である。

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