農業法人の採用対象はどこにいる?令和6年調査から考える人材確保と受け入れ体制
- ishikawa030
- 7月24日
- 読了時間: 5分

農業の人手不足が続く中、農業法人や農業経営体にとって、人材確保は経営上の重要課題です。ただし、採用を考える際に、農業経験者だけを対象にすると、候補者の範囲は大きく狭まります。
農林水産省の「令和6年新規就農者調査結果」では、農業経営体に新たに雇用された人について、就業状態別・年齢別の人数が公表されています。
この調査の対象は、農業経営体に「新たに雇用された者」です。新規就農者全体や農業経営者全体の構成を示したものではありませんが、農業法人の採用対象を考えるうえでは有用な資料です。
■最も多いのは農業以外で勤務していた人

就業状態別の人数を見ると、最も多いのは「農業以外に勤務」の7,310人です。
その次に多いのは、「農業法人等に勤務」の1,740人、「学生」の1,640人です。続いて、「自営農業」が1,060人、「家事・育児・その他」が820人、「農業以外の自営業」が410人となっています。
農業経験がある「農業法人等に勤務」の層よりも、農業以外で働いていた人の方が大幅に多いことが分かります。
この結果から、農業法人の採用では、同業他社からの転職者だけでなく、製造業、サービス業、運送業、事務職など、異業種で勤務していた人も主要な採用対象になっていることがうかがえます。
採用活動では、「農業経験者歓迎」だけでなく、「未経験者をどのように受け入れるか」という視点が重要です。
■49歳以下の人材も一定数を占める

「農業以外に勤務」していた7,310人のうち、49歳以下は4,580人で、約62.7%です。
「農業法人等に勤務」していた1,740人のうち、49歳以下は1,350人で、約77.6%となっています。
また、「学生」は男女計1,640人で、49歳以下も1,640人です。年齢内訳では、15~19歳が570人、20~29歳が1,070人となっています。
農業法人にとっては、異業種から転職する若年・中堅層だけでなく、学校を卒業して農業に就職する人も採用対象になります。
一方、「自営農業」では、65歳以上が390人と、掲載された年齢区分の中で最も多くなっています。新たに雇用される人の年齢構成は、以前の就業状態によって大きく異なります。
なお、ここで示した割合は、公表された表示値から計算した概算です。
■未経験者を採用できる経営体にする
異業種経験者や学生を採用する場合、農作業を「経験を積めば覚えられるもの」として扱うだけでは、教育する側にも、働く側にも負担がかかります。
まず必要になるのは、初心者でも理解できる作業手順です。作業の順番、判断基準、注意点、使用する道具などを明確にし、口頭説明だけに依存しない仕組みを整える必要があります。
特に農業では、天候、作物の状態、設備の違いによって判断が変わります。そのため、単純なマニュアルだけでなく、「どの状態になったら何をするか」という判断基準まで共有することが重要です。
安全教育も欠かせません。農業機械、刃物、薬剤、高所作業、暑熱環境など、農業には特有の危険があります。未経験者を採用する場合は、作業能力を求める前に、安全に働ける教育体制をつくる必要があります。
■採用条件と将来像を明確にする
人材を採用できても、働き方や役割が曖昧であれば、定着につながりにくくなります。
求人時には、勤務時間、休日、繁忙期の働き方、担当業務、給与、昇給、必要な資格などをできる限り具体的に示すことが重要です。
また、入社後にどのような仕事を任せるのか、将来的に栽培管理や現場責任者を目指せるのかといったキャリアの見通しも、採用を考えるうえで重要な要素です。
この統計から、採用後の定着率や離職理由までは分かりません。ただし、多様な経歴の人が新たに雇用されている以上、採用後の相談体制や教育方法を見直す必要があることは読み取れます。
■採用人数だけで人手不足を解決しない
人手不足への対応では、採用人数を増やすことに目が向きがちです。しかし、採用市場には限りがあり、必要な人数を常に確保できるとは限りません。
そのため、採用と並行して、現在の作業そのものを見直す必要があります。
例えば、毎日決まった時間に行う作業、同じ判断を繰り返す作業、移動や見回りに時間がかかる作業は、省力化や自動化を検討しやすい分野です。
作業を標準化し、設備を活用することで、新しく入った人が覚える作業を減らすこともできます。経験者だけに頼らず運営できる仕組みは、採用の間口を広げることにもつながります。
自動化は、人を減らすためだけのものではありません。従業員が単純作業に追われず、栽培判断、品質管理、出荷、改善活動など、より重要な業務に時間を使えるようにする手段でもあります。
■人材を採用しやすく、育てやすい経営へ
令和6年の調査では、農業以外に勤務していた人が7,310人と最も多く、異業種から農業へ入る人が大きな割合を占めています。
農業法人の人材確保では、農業経験者を探すだけでなく、未経験者や学生を受け入れられる教育体制、作業設計、勤務環境を整えることが重要です。
同時に、採用した人にすべての作業を任せるのではなく、省力化や自動化によって、限られた人員でも運営しやすい経営体をつくる必要があります。
採用、教育、定着支援、設備投資を別々に考えるのではなく、人材を生かすための一体的な経営改善として取り組むことが求められます。
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農業の人材確保では、採用や教育に加えて、限られた人員でも日々の管理を続けやすい仕組みづくりが重要です。
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