「知らなかった」では済まされない? 新規就農者の82.5%が利用する支援制度と、年代別の落とし穴
- ishikawa030
- 3 日前
- 読了時間: 3分

「農業を始めたいが、資金繰りが不安だ」「良い農地が見つからない」 新規就農を志す方の多くが、こうした悩みに直面します。理想のライフスタイルを描く一方で、現実的な経営の壁は想像以上に高くそびえ立っています。
しかし、この壁を「個人の努力」だけで乗り越えようとする必要はありません。最新の公的調査データからは、多くの先輩就農者が制度を賢く利用し、リスクを分散させている実態が浮かび上がってきました。今回は、新規参入者が実際にどのような支援を活用し、経営の安定化を図っているのかを解説します。
■新規参入者の8割以上が活用する「資金の命綱」

就農直後は、収入が不安定な中で設備投資や生活費を賄わなければなりません。この「魔の期間」を乗り切るために、どれくらいの人が公的支援を利用しているのでしょうか。
最新の調査結果(図1参照)を見ると、最も利用率が高かったのは「助成金・奨励金の交付」でした。その割合はなんと82.5%。前回の調査(2021年)と比較しても25ポイント以上増加しており、もはや「利用するのが当たり前」という状況になっています。 次いで「農地のあっせん・紹介」が約半数の52.0%、「研修の支援助成」が47.7%と続きます。
このデータから読み取れるのは、現代の新規就農において、補助金や給付金といった資金的サポートは「あったらラッキー」なものではなく、「経営計画に組み込むべきインフラ」であるという事実です。特に資材高騰が続く昨今の農業情勢において、自己資金のみでのスタートはあまりにハイリスクと言えます。
■年代で変わる「必要な支援」の形
では、誰でも同じように支援を受ければよいのでしょうか? ここで注意したいのが、就農時の年齢による傾向の違いです。

年代別の利用状況(図2参照)を見てみると、非常に興味深い「分かれ目」が存在します。 20代から40代までの層では、8割以上が助成金や奨励金を活用しています。また、研修への支援利用も約半数を占めており、「資金と技術」の両面で手厚いサポートを必要としていることがわかります。
一方で、50代以上になると資金面での支援利用率はガクンと下がります。50代では3割程度、60代以上では2割未満にとどまっています。これには制度上の年齢制限も関係していますが、セカンドキャリアとしての就農では、自己資金がある程度準備できているケースや、経営規模を最初から大きくしすぎないといった事情も背景にあると考えられます。
しかし、注目すべきは「農地のあっせん・紹介」です。 この項目に関しては、20代から60代以上まで、どの年代でも一貫して約5割が利用しています。つまり、年齢や資金力に関わらず、「優良な農地の確保」は全世代共通のハードルであり、公的な仲介サポートが不可欠であるということです。
■「知らなかった」で損をしないために

農業経営は、天候リスクや市場価格の変動など、自分ではコントロールできない要素と常に隣り合わせです。だからこそ、コントロールできる部分、つまり「初期投資の負担軽減」や「農地選定のリスクヘッジ」には万全を期す必要があります。
特に40代以下の方にとって、公的な資金支援は経営を軌道に乗せるための生命線です。また、50代以上の方であっても、農地情報の収集において公的機関のパイプ役は欠かせません。
「自分は独自にやるから大丈夫」と孤軍奮闘するのではなく、利用できる制度はフル活用して足場を固める。それが、長く続く強い農業経営への第一歩となります。まずは地元の自治体や就農相談センターで、自分にどのような選択肢が用意されているかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。


