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新規就農は“借金前提”なのか? 就農直後の資金不足と借入実態

就農して何年目の人が、どれほど資金を借りているのか?」これは、新規就農を目指す人が早い段階で抱える根源的な疑問でしょう。

全国農業会議所の「新規就農者の就農実態調査(令和6年度)」を基に、本記事では “就農後の経過年数” に注目して資金状況の実態 を整理します。表向きには「支援制度が整っている」と言われる新規就農ですが、数字を見ると初期の資金不足の深刻さ がはっきり浮かび上がります。


■1. 就農直後(1・2年目)は最も借入依存が強い


まず、就農後の期間別の「資金を借り入れた割合」は次の通りです。

  • 1・2年目:61.3%

  • 3・4年目:50.8%

  • 5年以上:53.1%

特に 就農1~2年目の6割超が借金スタート という点が重い数字です。農業を始めた直後新規就農は“借金前提”なのか? 就農直後の資金不足と借入実態は、設備・資材・圃場整備など支出が集中し、自己資金だけで乗り切ることは難しい構造にあります。

また、3~4年目で借入割合が一時的に低下しているものの、5年以上経過しても 半数以上が借入を利用 しており、「軌道に乗ったら借金から解放される」という単純な話ではありません。


■2. 就農初期ほど「制度資金」への依存度が高い

新規就農は“借金前提”なのか?-就農直後の資金不足と借入実態借入者が利用する資金の種類を、就農年数ごとに見てみます。

資金種別

1・2年目

3・4年目

5年以上

青年等就農資金

82.0%

78.8%

76.2%

経営体育成強化資金

3.6%

4.0%

4.9%

スーパーL資金

1.4%

3.3%

5.9%

農業近代化資金

2.3%

2.0%

7.1%

最初の2年は 設備投資に強い青年等就農資金への依存が極端 に高く、その後年数が経つにつれ スーパーL資金や近代化資金など、事業拡大・改良向けの資金にシフト していく構造が読み取れます。

しかしこの変化は「余裕が出た」というより“借入の種類が変わるだけで、借入依存そのものは続く” と見た方が近いでしょう。

■3. 就農1・2年目は費用合計が最も高く、売上が最も低い

就農年数別に、1年目の費用・自己資金・売上を見ると、初期の厳しさが如実に現れます。


1・2年目

3・4年目

5年以上

費用合計(平均)

1,002万円

908万円

841万円

自己資金(平均)

264万円

310万円

274万円

差額(費用−自己資金)

-738万円

-598万円

-567万円

就農1年目 売上(平均)

305万円

317万円

387万円

就農1〜2年目は

  • 費用は最大(1,000万円を超える)

  • 自己資金は少ない

  • 売上は最も低い

という三重苦に陥ります。

つまり、就農初期ほど 「赤字幅が大きい → 借入必要額が増える → 金利負担が積み上がる」という悪循環に入りやすいと言えます。


■4. 「経験が増えると黒字化する」は幻想


データ上では、5年以上のベテランでも

  • 借入割合:53.1%

  • 費用差額:-567万円

  • 初年度売上:387万円

と、初年度で黒字化に至るケースはほぼありません。

むしろ、“就農後も投資が続くため、借入が減らない構造”が見えてきます。

これは農業経営の特性として、

  • 設備更新が必要

  • 作目変更への再投資

  • 規模拡大には継続的な負債が必須

といった事情を反映しています。


■まとめ:就農後年数が増えても、資金的に楽にはならない


今回の分析で分かったのは次の点です。

  1. 就農初期(1・2年目)は借入率も費用も最大で、最も資金に苦しむ

  2. 年数が経っても借入依存から完全に脱することは難しい

  3. 初年度の売上は費用を補いきれず、赤字幅は年数に関係なく大きい

  4. 調達する資金の種類は変化するが、借入額そのものは長期化しやすい

「農業は続ければ安定する」という素朴なイメージとは裏腹に、就農後も資金面の負担は長期にわたって続く産業 であることがデータから明確です。

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