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「就農1年目は大赤字」が現実?20代・30代が頼る『青年等就農資金』のリスクと活用法

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「いつかは自然の中で、自分らしい農業を」 そんな憧れを抱いて就農計画を立て始めたとき、多くの人が最初に直面する壁があります。それが「お金」の問題です。

農業は、土地、機械、施設、肥料、種苗と、何をするにも初期投資がかかる産業です。しかし、実際にどれくらいの人が、どこから資金を調達しているのでしょうか?

本記事では、全国農業会議所が公表した最新の「新規就農者の就農実態に関する調査結果(令和6年度)」のデータをもとに、現場のリアルな「懐事情」を紐解いていきます。そこには、補助金や制度資金に支えられている安心感の裏で、経営者が直視すべきシビアな現実がありました。


■借り入れをしているのは全体の約55%

まず、これから農業を始める人が最も気になる「借金」の実態について見ていきましょう。

調査によると、就農時に資金の借り入れを行っているのは全体の54.6%。およそ2人に1人が、借金を背負ってのスタートとなっています。

「半分は自己資金でなんとかなっているのか」と思うかもしれませんが、ここには年齢による大きな差があります。

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29歳以下では60.3%、30代でも**58.1%**と、若い世代ほど借り入れを行う割合が高くなっています。一方で、50代になると28.4%まで低下し、60歳以上では借入ゼロという結果が出ています。

これは、定年退職後の就農など、ある程度の貯蓄を持ってスタートできる層とは異なり、20代〜40代の「現役世代としての就農」には、外部からの資金調達がほぼ必須条件であることを示しています。


■就農1年目は約600万円の不足する

なぜこれほど多くの若手就農者が借金を必要とするのでしょうか。その答えは、就農1年目の収支バランスにあります。

新規参入者の場合、就農1年目にかかる費用の平均は約896万円。対して、用意できる自己資金の平均は約278万円にとどまっています。単純計算で約619万円の資金不足が発生しているのです。この「約600万円のギャップ」を埋めるために、多くの人が資金調達に奔走することになります。

では、先輩農家たちはどこからお金を借りているのでしょうか? 実は、銀行などの民間金融機関よりも圧倒的に頼られている「資金の借入先」があります。

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最も利用されているのは、国が設けている制度資金の一つ「青年等就農資金」で、借入を行った人の約8割がこれを利用しています。次いで農協(JA)の資金が約2割と続きます。

青年等就農資金は、基本的に無利子で返済期間も長く設定されているため、実績のない新規就農者にとってはまさに「命綱」と言える制度です。しかし、ここに一つの落とし穴があります。


■「無利子・据置期間」が終わる時が本当の勝負


多くの若手就農者が利用する制度資金には、返済猶予期間(据置期間)が設けられていることが一般的です。就農直後の売上が不安定な時期に返済を待ってもらえるのは、経営者にとって非常にありがたい仕組みです。

しかし、これはあくまで「借金」であり、補助金ではありません。数年後、据置期間が終われば、元本の返済が重くのしかかってきます。

調査データでは、酪農や施設野菜など、初期投資額が大きい作目ほど自己資金との乖離が大きく、多額の借り入れを行っている傾向が見られます。もし、据置期間中に「稼げる経営体」へと成長できていなければ、返済が始まった途端に資金繰りがショートしてしまうリスクがあるのです。


■「借りられる」と「返せる」は違う

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今回のデータから見えてくるのは、「新規就農には借金がつきもの」という事実だけでなく、「多くの人が制度資金の恩恵を受けてスタートできている」という希望でもあります。

重要なのは、資金を借りること自体への恐怖心ではなく、「5年後、10年後の返済計画」をシビアに見積もる経営感覚です。

  • 自己資金は生活費を含めてどのくらい必要か?

  • 据置期間終了後の年間返済額はいくらになるか?

  • その返済額を差し引いても手元に利益が残るか?

これから就農を目指す方は、作物の育て方を学ぶのと同時に、こうした「お金の計算」にも時間を割くことを強くお勧めします。夢を夢のままで終わらせないための第一歩は、この現実的な資金計画作りから始まるのです。





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