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新規就農者のためのイチゴ栽培ガイド:土耕 vs 高設、どっちが正解?


1. はじめに:イチゴ栽培のスタートラインに立つあなたへ


農業という挑戦の道を選んだ皆さん、ようこそ!これからイチゴ栽培を始めようとする中で、最初に突き当たる大きな壁が「栽培方式の選択」です。


これは単なる作業スタイルの違いではありません。初期投資をいくらかけ、日々何時間にわたって腰を曲げて作業し、将来的にどれほどの規模まで拡大したいのか――。つまり、あなたの農家としての「経営戦略」と「ライフスタイル」を左右する、極めて重要な決断なのです。


「ベテランの技を盗んで、じっくり土と向き合いたい」のか、「最新データを武器に、効率的かつスマートに稼ぎたい」のか。後悔しない選択のために、まずは土耕栽培と高設栽培の構造的な違いと、それぞれの「本質」を整理していきましょう。



2. 「土耕栽培」と「高設栽培」の構造と特徴を徹底比較


伝統的な「土耕栽培」と、ベンチを使って腰の高さを維持する「高設栽培」。それぞれの特徴を下表にまとめました。

比較項目

土耕栽培(伝統的)

高設栽培(近代的)

設置コスト

低い(初期投資を抑えやすい)

高い(架台や養液システムの設備費)

作業姿勢

常に屈む(腰への負担が大きい)

立ったまま(身体的負担が極めて少ない)

培地量と緩衝能

多い(地力があり、変化が緩やか)

少ない(環境変化がダイレクトに伝わる)

環境制御

勘と経験が主。データ化が難しい

養水分管理の数値化・自動化が容易

経営的視点

労働集約型。規模拡大に限界あり

ROI(投資対効果)が高く、規模拡大向き


「So What?」— コンサルタントの視点

高設栽培の最大のメリットは「労働生産性の向上」です。身体への負担を減らすことで、一人あたりの管理可能面積を広げられます。しかし、表にある通り「培地量が少ない」という点は、土が持つ「変化を和らげる力(緩衝能)」が期待できないことを意味します。


つまり、水や肥料のわずかなミスが、植物に即座にダメージを与える「ハイリスク・ハイリターンな精密管理」が求められるのです。このリスクを回避し、高い収益性を確保するためには、「あぐりログ」などの環境モニタリング装置を導入し、異常を早期に察知する体制がセットで必須となります。



3. 高設栽培で失敗しないための「排液・EC管理」のコツ


高設栽培を成功させる鍵は、目に見えない培地内の状況を「見える化」することです。大分県のマニュアルに基づいた、現場で即使える管理指標を伝授します。


目標排液率:30%を維持する

    ◦ 給液量に対して30%を外へ流すことで、培地内の肥料濃度をリセットし、根の健康を保ちます。

適正EC値:排液EC 0.3〜0.6mS/cm

    ◦ 0.6〜1.0mS/cmは「グレーゾーン(注意域)」であり、即座に収量が落ちるわけではありませんが、1.0mS/cmを超えると葉先が枯れる「チップバーン」のリスクが急激に高まります。

異常時の具体的アクション(フラッシング)

    ◦ ECが高く排液率が低い場合: 肥料成分が培地に蓄積しています。即座にかん水量を3〜5割増やし、培地を洗い流しましょう。

    ◦ ECが低い場合: 肥料不足です。液肥の希釈倍率を上げ、1週間単位で排液データを見ながら調整します。

春先の急激な変化に注意

    ◦ 2月以降、日射量が増えると吸水量が激増します(10月の2倍以上になることも)。この時期のチェック漏れは致命的な生育不良を招きます。


【プロのアドバイス】 ポータブルのEC計で測定する場合、日中は変動が激しいため、「夜間21時〜翌早朝7時」の間に溜まった排液を測定するのが最も正確です。あぐりログ等の画面で夜間の排液EC推移をチェックする習慣をつけましょう。



4. 収量を「もう一押し」する最新技術と自動化の活用


管理に慣れてきたら、最新技術で「ゆとり」と「高収益」を両立させましょう。これは初心者でもベテランに近い結果を出すための「戦略的投資」です。


クラウン部加温で増収を狙う

    ◦ 株元を温めることで冬場の生育を早めます。愛知県の実証では、電熱線で10〜30%増収した事例があります。ただし、温湯通水の実証では「紅ほっぺ」で16%増収した一方、「章姫」では2%増に留まるなど、品種によって効果に差が出ます。自身の栽培品種との相性を必ず確認してください。

「日射比例灌水」で科学的な水やりを

    ◦ 「夏の晴れ」と「冬の晴れ」では、同じ晴天でも日射エネルギーが全く異なります。日射量に基づいて自動で灌水量を調節することで、植物にストレスを与えない理想的な管理が可能になります。

「GO SWITCH」で移動時間を削減

    ◦ スマートリモートスイッチを使えば、スマホ一つでハウスの窓を開閉できます。天気の急変に合わせてハウスへ駆けつける時間を、1日あたり30〜60分削減できると想定すれば、その分の労働力を収穫や手入れに充てられます。


経営戦略:補助金を使い倒す


導入コストを抑えるのもプロの仕事です。例えば愛知県豊橋市の「アグリテック導入支援補助金」では、GO SWITCH等の導入に対し補助率1/2(上限50万円)が適用されます。こうした最新の公募情報を各自治体でチェックし、初期投資のハードルを下げましょう。



5. まとめ:あなたの目指す「イチゴ農家像」はどっち?


ここまで見てきた通り、どちらの道を選ぶかはあなたの価値観次第です。

「高設栽培 × スマート農業」で勝負するなら

    ◦ 規模拡大を視野に入れ、データを武器にROIを最大化したい人。身体への投資を惜しまず、長くスマートに稼ぎたい人に向いています。

「土耕栽培」でじっくり育てるなら

    ◦ 初期投資を抑えてスモールスタートし、土の緩衝能を活かしながら植物の生理を肌で学びたい人に向いています。


どちらを選んでも、成功の最短ルートは「勘に頼らずデータを見る習慣」をつけることです。EC値を測定し、日射予測アプリ「このあとてんき」で明日の戦略を立てる。この積み重ねが、あなたを一流のイチゴ農家へと押し上げます。応援していますよ!




参考資料(出典URLリスト)


「GO SWITCH」は、農業向けに特化した自動化サービスです。私たちのサービスを利用することで、効率的な農業管理が可能になります。今すぐ資料請求をして、あなたの農業を次のステージへ進めましょう!サービスページをご覧いただき、詳細をご確認ください。

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