top of page

「青年等就農資金」はなぜ必須なのか?データで見る就農直後の資金繰りと生存戦略



「農業を始めたい」と考えたとき、多くの人がまず思い描くのは、青空の下で汗を流す姿や、自分で育てた作物を収穫する喜びでしょう。しかし、いざ就農計画を立て始めると、避けて通れない大きな壁にぶつかります。それは「資金」の問題です。


今回は、全国農業会議所の実態調査データをもとに、先輩農家たちが直面した「就農1年目の懐事情」と、それをどう乗り越えているのかという「資金調達の現実」を紐解いていきます。厳しい数字も出てきますが、しっかりと現実を知り、準備を整えましょう。


■就農1年目、自己資金だけで足りるのか?


まず、就農初年度にどれくらいのお金がかかるのかを見てみましょう。

調査結果によると、新規参入者(自営)が1年目に要した費用の平均は、生活費を含めずに約900万円にも上ります。その内訳の多くを機械や施設の取得費が占めています。

一方で、就農前に用意できた営農用の自己資金は平均で300万円弱。つまり、単純計算でも「約600万円のマイナス」からのスタートとなるケースが一般的です。さらに、作物が収穫できて現金収入が入るまでにはタイムラグがあります。1年目の売上が初期投資をすべてカバーできるケースは稀であり、多くの人が資金不足に陥ります。

「貯金をしてから就農しよう」と思っても、数百万単位の差額を埋めるのは容易ではありません。ここで重要になるのが、外部からの資金調達、つまり「借り入れ」です。


■8割が選ぶ「青年等就農資金」という命綱


では、資金不足に直面した新規就農者たちは、どこからお金を借りているのでしょうか。以下のグラフは、就農1・2年目の農業者が利用している「借入先」の割合をランキング形式で示したものです。

この可視化から一目瞭然なのが、「青年等就農資金」の圧倒的な利用率です。就農直後の人の8割以上が、この制度資金を利用しています。次いで農協(JA)などの民間資金が続きますが、その差は歴然としています。

青年等就農資金は、新たに農業を始める人を対象とした国の方針に基づく無利子資金です。実績のない新規就農者にとって、銀行などの一般金融機関から多額の融資を受けるのはハードルが高いのが現実。その中で、この制度がいかに「新規就農者の命綱」となっているかが分かります。

29歳以下の若い世代や、意欲ある新規参入者にとって、この資金制度の認定を受けられるかどうかが、就農のスタートラインに立てるかどうかの分かれ道と言っても過言ではありません。就農計画を作成する際は、この資金の要件を満たすような、実現可能性の高い経営プランを練ることが最優先事項となります。


■「借りて終わり」ではない。借金とは長く付き合う覚悟を


「無利子で借りられるなら安心だ」と考えるのは早計です。借りたお金は、当然ながら返済しなければなりません。 次のグラフは、就農後の経過年数ごとに「資金を借り入れている人の割合」がどう推移するかを表したものです。

データを見ると、就農1・2年目に約6割だった借入者の割合は、経営が軌道に乗り始める3・4年目で一度下がります。しかし、注目すべきは「5年目以上」になっても、再び5割以上の人が借入を行っているという点です。

これは、単に「返済が終わらない」というネガティブな理由だけではありません。経営が安定してくると、次は「規模拡大」や「設備の更新」「法人化」といった新たな投資が必要になるからです。農業経営を続ける限り、資金繰り(キャッシュフロー)の管理と、適切な設備投資の判断はセットでついて回ります。


■経営者としての「数字への強さ」が成功の鍵


データから見えてくるのは、「農業は技術だけでは生き残れない」という現実です。 美味しい野菜を作る技術と同じくらい、あるいはそれ以上に、以下の3つの「経営力」が求められます。

  1. 精度の高い資金計画:初期投資の600万円不足をどう埋めるか、就農前からシビアに計算する。

  2. 制度のフル活用:「青年等就農資金」などの公的支援を確実に受けるための情報収集と書類作成能力。

  3. 長期的な投資視点:5年後、10年後を見据え、適切なタイミングで再投資や借り入れを行う判断力。

「なんとかなる」という精神論で飛び込むには、現代の農業はあまりに高コストです。しかし、裏を返せば、これらのリスクを事前に把握し、適切な資金計画という「武器」を持っていれば、農業は十分に挑戦しがいのあるビジネスです。

これから就農を目指す皆さんは、ぜひ栽培技術の習得と並行して、経営計画の策定に力を入れてください。数字に強い農業者になることこそが、長く続く豊かな農業人生への第一歩です。










「GO SWITCH」は、農業向けに特化した自動化サービスです。私たちのサービスを利用することで、効率的な農業管理が可能になります。今すぐ資料請求をして、あなたの農業を次のステージへ進めましょう!サービスページをご覧いただき、詳細をご確認ください。

bottom of page