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【実践ノウハウ】日射比例灌水は「何MJで何リットル(何分)」が正解?主要5作物別の設定指針と現場の計測テクニック


導入:日射比例の最大の壁「設定の仕方がわからない」


環境計測器「あぐりログ」や制御機器「GO SWITCH」を導入し、いざ「日射比例灌水」を始めようとしたとき、誰もが最初に頭を抱えるポイントがあります。


「で、うちのハウスは、何MJ(メガジュール)ごとに、何リットル(あるいは何分)の水を設定すればいいの?」


さらに現場を悩ませるのが、お使いの制御盤によっては「〇〇リットル流す」という設定ができず、「〇〇分〇〇秒間バルブを開ける」という【時間設定】しかできないケースが非常に多いという点です。


今回は、日射比例灌水の標準指標である「1 MJ/㎡ あたり2.0~2.5L」という数字の科学的根拠を明かし、トマト・ナス・ピーマン・キュウリ・イチゴの主要5作物の設定指針、そして「分数設定」しかできない場合の現場での超具体的な計測・換算テクニックを大公開します。



1. 「1 MJ/㎡ = 2.0~2.5L」という指標の科学的根拠


そもそも、なぜ「2.0~2.5L」という数字が標準と言われているのでしょうか?


① 物理的な根拠(水の蒸発潜熱)


物理学の世界では、水1kg(1L)を蒸発させるために必要な熱エネルギー(蒸発潜熱)は約2.45 MJと決まっています。太陽の光が100%水の蒸発に使われたと仮定すると、1 MJ/㎡ あたり約0.4Lの水分が消える計算になります。


② 農学的な根拠(情報源:農研機構など)


実際のハウスでは、ビニールの遮光(透過率60〜70%)があり、葉の重なり(葉面積指数)があり、さらに根の健康を保つための「排液(30%程度)」を考慮する必要があります。


これらを計算に組み込んだ日本の施設園芸における標準指標(農研機構の養液土耕マニュアル等)が、植物の蒸散量を賄い、適正な排液を出すための灌水量として弾き出した「1 MJ/㎡あたり 2.0〜2.5L(1㎡あたり)」という合理的なスタートラインなのです。



2. 【重要】日射が溜まる前に植物を起こす「朝一番の目覚まし灌水」


作物別の数値を見る前に、知っておいてほしい非常に重要なテクニックがあります。それが「朝一番の目覚まし灌水(ベース灌水)」です。


日射比例制御は素晴らしい仕組みですが、「日の出直後」はまだ積算日射量が十分に溜まっていないため、センサーだけだと水やりがスタートしません。しかし植物は、朝日を浴びた瞬間から急激に光合成と蒸散を始めます。


この「太陽は昇ったのに、日射比例のスタート条件(例:累計1.5MJなど)が溜まるまで水が出ない」というタイムラグの間に株が水ストレスを起こすと、その日の光合成に急ブレーキがかかってしまいます。


そのため、トマト、キュウリ、ナスなどの成長が早く水を好む作物では、毎朝7時など(日射量が溜まる前)に、日射量に関係なく一律で1回、少量の「目覚まし灌水」をタイマー等で強制的に流してあげるのがプロの技です。これにより、株が夜間の水分不足から素早く回復し、日中の活発な光合成へとスムーズに移行できます。



3. 【作物別】日射比例灌水の具体的な設定指針


まずは以下の数値をスタートラインにして、ご自身のハウスの環境に合わせて微調整していきましょう。


① トマト(養液・養液土耕)

  • 標準指針: 1 MJ/㎡ あたり 2.0 〜 2.5 L / ㎡ (1株換算:150 〜 200 mL / 株

  • 朝一番: 必須。 毎朝7時前後に、日射量に関わらず一律で 200mL/株 程度を給液してエンジンをかけます。これによって日中の資源効率が最大化します。


② ナス(促成・養液土耕)

  • 標準指針: 1 MJ/㎡ あたり 2.5 〜 3.0 L / ㎡

  • 朝一番: 強く推奨。 ナスはトマト以上に葉が大きく水分要求量が多いため、朝一番にしっかりと土壌を湿らせておくことで、日中の青枯れやストレスを防ぎます。


③ ピーマン(養液土耕)

  • 標準指針: 1 MJ/㎡ あたり 1.8 〜 2.2 L / ㎡

  • 朝一番: 不要(またはごく少量)。 ピーマンは根が浅く、過湿(水のやりすぎ)になるとすぐに根傷みを起こします。朝一番の強制灌水は行わず、日中の日射量に応じて「少量多頻度」でじわじわと吸わせるのが安全です。


④ キュウリ(促成栽培・養液土耕)

  • 標準指針: 1 MJ/㎡ あたり 2.5 〜 3.2 L / ㎡

  • 朝一番: 必須。 「水で育てる」と言われるキュウリは、朝の乾燥が命取りになります。日の出後に素早く水分を補給し、日中の猛烈な蒸散に備えさせます。


⑤ イチゴ(高設栽培)

  • 標準指針: 1 MJ/㎡ あたり 1.5 〜 2.0 L / ㎡ (1株換算:15 〜 20 mL / 株

  • 朝一番: 不要(日射比例のみでOK)。 培地量が非常に少ない高設栽培では、朝の冷え込んだ時間帯に水を入れると培地温度が下がりすぎて根の活性が落ちることがあります。完全に日が昇り、日射量がカウントされ始めてからのスタートが基本です。



4. リットルを「分数」に換算する!現場での流量計測テクニック


さて、ここからが本題です。

「1MJあたり〇〇リットル」という目標が決まっても、制御盤が「分数設定」しかできない場合、【お使いの設備が1分間に何リットルの水を出しているか(吐出量)】を正確に知る必要があります。


カタログ値を見るよりも、現場で「実測」するのが一番確実で失敗しません。以下の手順で測ってみてください。


ステップ①:1株(1口)あたりの「1分間の吐出量」を測る

  1. ハウス内の標準的な場所にあるドリッパー(点滴チューブの穴、またはドリップピン)を数箇所ピックアップします。

  2. その下に計量カップや空のペットボトルを置きます。

  3. 制御盤を手動運転し、「正確に5分間」 灌水を行います。

  4. 溜まった水の量を量り、5で割ります。

    • 例:5分間で400mL溜まった場合 = 400 ÷ 5 = 1分あたり80mL(0.08L)


ステップ②:ハウス全体の「1分間の総流量」を計算する

ステップ①で出た数字に、その系統(バルブ1個で同時に水が流れるエリア)の総口数、または総株数を掛け算します。

  • 例:1分あたり80mL(0.08L)出るピンが、ハウス全体で3,000本ある場合

  • 0.08L × 3,000本 = 1分間に240L の水がハウス全体に流れている(総流量)


ステップ③:目標リットル数から「設定分数」をハジき出す

例えば、日射比例の条件(例:2MJ積算したら灌水)に到達したとき、ハウス全体に480Lの水を流したいとします。

ステップ②で「うちのハウスは1分間に240L流れる」と分かっているので、割り算をします。

  • 480L(目標) ÷ 240L/分(設備の能力) = 2分

これで、制御盤のタイマーを「2分00秒」に設定すれば、目標通りの日射比例灌水が完成します!


5. 「このあとてんき」を組み合わせたプロの引き算

設定が完了したら、仕上げは日射量予測サービス「このあとてんき」との連動です。

夕方になって日射比例の条件を満たして水が出たとしても、その後すぐに日が暮れてしまうと、その水分は消費されずに培地内に残り、夜間の過湿(根腐れや病気の一番の原因)を招きます。


「このあとてんき」で前夜や当日の朝に「今日の午後〜夕方の日射量推移」を予測し、午後から日射が落ちる予報であれば、最後の数回分の灌水を意図的にキャンセルする。この「予測に基づいた引き算」ができるようになると、節水・節肥だけでなく、病害リスクを劇的に下げることができます。



まとめ:機械を「我が家仕様」にカスタマイズしよう


ご紹介した数値や計測方法は、スマート農業の重い扉を開けるための「共通の鍵」です。

一見難しそうな「MJ(メガジュール)」という単位も、バケツとストップウォッチさえあれば、今日からあなたのハウスの「〇分〇秒」に変換することができます。


ぜひ一度、お休みの日にでもハウスの流量を測ってみてください。きっと、今までの水やりがガラリと変わるはずです!



「GO SWITCH」は、農業向けに特化した自動化サービスです。私たちのサービスを利用することで、効率的な農業管理が可能になります。今すぐ資料請求をして、あなたの農業を次のステージへ進めましょう!サービスページをご覧いただき、詳細をご確認ください。

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