【主要4作物】日射比例・養液栽培における「1日給液量・1回給液量・灌水ピッチ」標準ガイド

養液栽培や養液土耕システムで日射比例制御を導入する際、最も多く寄せられる悩みが「1回あたりの給液量(ml/株)」や「1日あたりの目標総量(ml/株)」をいくらに設定すべきかという点です。
給液量が多すぎれば根域の酸素不足や肥料の流亡を招き、少なすぎれば真夏のピーク時に激しい水ストレスがかかって収量・品質が著しく低下します。
本記事では、主要4作物(トマト・イチゴ・イチジク・キュウリ)における標準的な給液目安と、現場の制御盤へ落とし込むための計算ロジックをまとめました。 (順次増やしていこうと思います)
1. 作物別・給液目標値の一覧表
作物名 | 1日総給液量(盛夏期/ピーク時) | 1回あたりの給液量 | 日射比例ピッチ(しきい値) | 主な培地・栽培形態 |
トマト | 1,000 〜 2,000+ ml/株 | 100 〜 150 ml/株 | 1.5 〜 2.0 MJ/m² | ロックウール / ココピート / 養液土耕 |
イチゴ | 200 〜 400 ml/株 | 25 〜 50 ml/株 | 1.5 〜 1.8 MJ/m² | 高設培地(ピートモス・椰子ガラ等) |
イチジク | 2,000 〜 4,000 ml/株 | 150 〜 300 ml/株 | 1.2 〜 1.5 MJ/m² | 鉢植え・コンテナ養液土耕 |
キュウリ | 1,500 〜 3,000 ml/株 | 150 〜 200 ml/株 | 1.0 〜 1.5 MJ/m² | 固形培地 / 養液土耕 |
2. 各作物の給液管理のポイントと注意点
① トマト(養液栽培・養液土耕)
1日の総給液量:約 1,000 〜 2,000 ml/株(盛夏期のピーク時は2,000ml/株を超えることもある)
1回あたりの給液量:約 100 〜 150 ml/株
管理指針:積算日射量 1.5 〜 2.0 MJ/m² ごとに1回(1日10〜15回程度)。培地内塩類集積を防ぐため、常に排液率20〜30%前後を維持するように給液量を調整するのが基本です。
② イチゴ(高設養液栽培)
1日の総給液量:約 200 〜 400 ml/株(春先の旺盛期)、冬場は 100 〜 250 ml/株
1回あたりの給液量:約 25 〜 50 ml/株
管理指針:1回25〜30mlなどの「小少量・多回数給液」が鉄則です。高設栽培は根域(培地量)が非常に狭いため、1回の給液量を増やしすぎると根域の酸素不足や肥料の流亡を招きます。積算日射量 1.5 〜 1.8 MJ/m² ピッチを基準とします。
③ イチジク(鉢植え・コンテナ養液土耕)
1日の総給液量:約 2,000 〜 4,000 ml/株(7〜8月のピーク時)
1回あたりの給液量:約 150 〜 300 ml/株
管理指針:イチジクは葉面積が極めて大きく、果菜類の中でもトップクラスの蒸散量(水要求量)を誇ります。培地容量に応じて1日10〜15回前後に細かく分けて給液します。真夏に水切れを起こすと一発で下葉が落ちるため、やや余裕を持った給液設計が必要です。
④ キュウリ(養液栽培)
1日の総給液量:約 1,500 〜 3,000 ml/株
1回あたりの給液量:約 150 〜 200 ml/株
管理指針:生育スピードが非常に速く、果実の95%以上が水分であるため、日射に対する吸水量反応が極めて敏感です。日射ピーク時は 1.0 〜 1.5 MJ/m² 程度の細かなピッチで高頻度に灌水します。
3. 「1株あたり(ml)」から「制御盤の設定(L)」への換算手順
現場の制御盤(養液王やDC9など)に設定を入力する際は、「1株あたりml」を「1系統(1ブロック)あたりの合計リットル(L)」に換算する必要があります。
換算フォーマット
1系統あたりの設定水量 (L) = 1株あたりの目標給液量 (ml) × その系統の植栽株数 ÷ 1,000
計算例:トマト(1系統に200株植わっている場合)
1株あたり目標給液量:100 ml
1系統の株数:200 株
計算:
100 (ml) × 200 (株) ÷ 1,000 = 20 (L)
この場合、制御盤側では「1系統=20リットル」(時間指定の場合は20L吐出するのにかかる分数)と設定すれば、各株に正確に100mlずつ行き渡ります。
4. まとめ
日射比例制御を成功させるコツは、「作物の生理要求に合わせた1株あたりの小少量給液」と「制御盤側の物理的な1巡処理時間」のバランスを取ることです。
本ガイドの数値をベースに、現場の培地乾燥具合や排液率(排液量÷給液量)をチェックしながら微調整を行ってください。



