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【開発者の『当たり前』と農家の『諦め』】なぜ私たちの2%微少換気は、トマト農家さんに感謝されたのか?

とある農家さんのハウスでお話をしていたときのことです。

農家さんが、とても嬉しそうにこう仰いました。


「この時期、隣のハウスが植え替えをするんだよね。だから、そっち側の窓は『ほんの少し』だけ開けた状態にしておきたいんだ。これ(GO SWITCH)ならそれができるのが、本当にありがたいんだよ」


その言葉を聞いた瞬間、私は正直、頭の中に大きな「?」が浮かびました。ピンと来なかったのです。私たち技術者としての本音はこうだったからです。


(え……窓を2%刻みで動かすなんて、制御システムとして普通なのでは……? なんでそんな当たり前のことで、そこまで感謝されるんだろう?)


私たちエンジニアにとっては特に普通の事と思っていた当たり前すぎる機能が、なぜそこまで農家さんの心に深く刺さったのか。その理由は、後から昔ながらの制御盤の説明書を解読したことで、鮮やかに氷解することになります。




第1章:隣のハウスの植え替え期に起きる「虫・熱・張り付き」の地獄


農家さんが直面していたのは、まさに施設園芸の現場における泥臭く切実な「虫と熱の攻防」でした。


隣のハウスが植え替え(残渣処理や抜根)を始めると、ハウス内にいたアザミウマやコナジラミといった病害虫が一斉に外へ飛び出します。それが風に乗って、自分のトマトハウスへと押し寄せてくるのです。


  • 窓を全開にすると:害虫が一気に入り込み、トマトにウイルスが広がって全滅のリスク。

  • 窓を完全に閉め切ると:ハウス内の温度が急上昇し、トマトが茹で上がってしまう。


「害虫侵入を防ぎつつ、天井の熱気だけを逃がしたい」。


この究極のジレンマを解決する唯一の方法が、「冷気や虫を巻き込まない限界の『数センチ(2%〜5%の極小の隙間)』だけ窓を浮かせる」という職人技のような換気でした。


もちろん、既存の制御盤であっても「手動(マニュアル)運転」に切り替えてボタンをチョンチョンと押せば、物理的に数センチ開けること自体は可能です。


しかし、そのためには恐ろしいコストがかかっていました。


従来の制御盤には「今、窓が何%開いているか」をミリ単位でリアルタイム表示するモニターなどありません。そのため農家さんは、わざわざ自分の足で窓際まで行き、自分の目で窓の隙間を見つめながら「よし、今2cmくらいかな」と確認してボタンを離すしかないのです。


日射や風向きが変わるたびに、1日に何度もハウスに駆けつけ、目視で微調整を繰り返す——。


農家さんは「作物を守るために、人間が1日中ハウスに張り付く」という途方もない負担を強いられていたのです。



第2章:制御盤を解読して分かった「農家さんの諦め」


「なぜ、そんな簡単なことが従来の『自動運転』でできないのか?」

疑問に思った私たちが、ハウスで長年使われている従来の環境自動制御盤の説明書を解読してみて、ようやく合点がいきました。


従来の制御盤は、全開までの時間を単に「4段〜8段」などで等分してタイマーで動かしているだけの仕組み(ステップ制御)だったのです。つまり、1段目が動いた時点で、自動的に全体の12.5%〜25%もガバッと一気に開いてしまう構造になっていました。  


  • 農家さんの常識:「自動制御=大雑把にガバッと開くもの(繊細な微調整は不可能)」  

  • 開発者の常識:「制御=2%刻みで緻密に狙った位置に動かせるもの(できて当たり前)」


農家さんたちは、「自動で数センチだけ開けて維持する」なんて技術はこの世に存在しない、手動で張り付くしか解決策はないと最初から諦めていたのです。



第3章:GO SWITCHが側窓制御で提供した「本当の価値」


今回、このトマト農家さんのハウスでは、側窓の制御を「GO SWITCH+」に任せて直接コントロールしています。


GO SWITCHは、従来の制御盤のような大雑把な段数切り替えではなく、5%(さらに手動運転では2%刻み)での開閉が可能となっています。


これにより、これまで手動で目視確認しながら張り付くしかなかった「数センチだけの微小換気」が、完全自動で再現できるようになりました。


  • 外気が冷たいとき・隣から害虫が飛散するとき:自動のまま「2%〜5%」の極小隙間で静かに換気し、病害虫と冷気をシャットアウト。

  • ハウス内に熱がこもり高気温になるとき:状況を判断して10%〜30%のダイナミックな開度へ自律的に切り替えて排熱。


農家さんが「GO SWITCHならそれができる」と仰っていたのは、単に「2%開く」というスペックに対する感動ではありませんでした。


「目視確認のために1日中ハウスへ張り付かなくても、大切なトマトを守ってくれる」


GO SWITCHが提供したのは、単なる機能ではなく、「農家さんの自由な時間」だったのです。



結び:現場の「腑に落ちた」瞬間を大切にしたい


開発者目線の「普通にできる」という技術論。


しかし、現場の農家さんにとっては「これまでの諦めと苦労を一瞬で吹き飛ばす夢の機能」でした。


既存の制御盤が抱える構造的な限界を正しく解読し、現場の泥臭い悩みに寄り添うこと。 自分たちの「当たり前」が、現場にとってどれほどの価値になるのかを正しく認識すること。  

これこそが、私たちがアグリテック(農業DX)を通して現場に届けるべき「本当の価値」なのだと、深く腑に落ちた一日でした。




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