野菜の小売りにおいては、多くのDX化の話を聞くことがありますが。
物流についてはやっと増えてきたという印象を受けます(気のせいかもしれません)。
農産物の流通は、全国にある卸売市場を経由するルートが一般的なのですが、その連絡に使われているのが今も電話とFAXなのだとか。
とりあえず市場に集める形式なので、蓋を開けてみると「足りない!」と発覚し、卸市場のスタッフがあちこちに電話をしてかき集めることになります。反対に、「キャベツ多すぎない? 価格が下がるよ」みたいなことも起こります。売り先が見つからない、運送方法がないなどの理由で、フードロスにつながるケースも。
つまり、無駄が多いのです。
今目指そうとしている、無駄のない流通とは
2050年までに「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現」するための目標「みどりの食糧システム戦略」について、以前チラッと、サクッと学んでみましたが、その中に流通に関する項目があります。
今回は下記を参考にしてみました。
(「みどりの食料システム戦略」に基づく取組の進捗状況/令和4年12月農林水産省 )
流通において目指すべき姿は「ムリ・ムダのない持続可能な 加工・流通システムの確立」です。細分化させた目標の一つに、「データ・AIの活用等による加工・流通の合理化・適正化」という項目があります。
さて、これからどんな施作が行われようとしているのでしょうか。
野菜を運ぶのは重労働ながら、低賃金になっている現状
野菜を運ぶ手段は、ほとんどがトラックです。トラックでの輸送は、ドライバーの高齢化、人手不足という問題があります。
特に、収穫量が天候に左右されたり、品質管理が難しい農産物の配送は敬遠されがち。
①野菜の運搬においては、配送量が直前まで決まらないし、待ち時間が多い
②ナマモノなので傷まないよう気を使う、手作業が多くなる
③小ロットの配送が多い
④上記のように他業種よりも手間がかかるわりに、品質管理や到着時間が厳格。そして低賃金
書いてみただけで大変です。実際の現場は本当に、プロフェッショナル達の汗と努力の結晶が回していると思います。
まずは省力化。そしてDXへ
物流の手間となっている問題を一つひとつ解消し、省力化させたところでICT活用による一元管理をしていくのが理想でしょうか。
下記を参考に考えてみましょう。
(農産品物流の改善・効率化に向けて (農産品物流対策関係省庁連絡会議 中間とりまとめ)/平成29年3月農林水産省・経済産業省・国土交通省)
野菜の運搬は農家が出荷した形態、つまりサイズがバラバラの段ボール箱、紙袋などでドンっと渡されるので、それを積み込むのが大変なのです。だからまず規格統一が大事。ここでパレットやフレコンを使うことが提案されています。
商品の回収も、トラックが各集荷場を一つひとつ回ってトラックに積んで行くため、時間と労力がかかります。できれば大ロットにまとめて共同輸送できるとベター。
集めた商品を長距離輸送する際は、トラックではなく鉄道や船を使うとなおよし。
そして帰り荷がなくて困る、というケースが多いらしいので、「空いてるトラックがちゃんと埋まるように情報管理」がやっぱり大切。
ただ、一番の問題は「小売りから何度も小ロットで注文が入り、その都度商品を補充に行く商慣行」がネックだろうと最後に書かれていますね。DX化させるために、この「痒いところに手が届く」ような細やかなサービスをなんとなく、もうちょっとざっくりした形に変えていかないといけないのではないかと。
日本人ならではの細やかな気配り、相手の「困った」を見逃さずにサポートするような配慮は、大変な労働を積み重ねて形になっているのを感じます。ただ、それを電話とFAXと人海戦術で乗り切るにはそろそろ人手と資金が足りない。
次なるステージへ進む時が来ています。
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