今回は、農業用のビニールハウスについて学んでみたいと思います。
施設園芸のために使われる農業用ハウスですが、ビニールハウスと名がついてはいるものの、実際にビニールはあまり使われていません。具体的には以下の2種類があります。
■ガラスハウス/被覆資材としてガラス板が使われるもの。
■プラスチックハウス/現在はポリオレンフィルム(農ポリ)が主流。1950年代、ビニールハウス黎明期に登場した塩化ビニールは、紫外線や低温で劣化しやすく、現在は主流ではないが、名前のみが残っている。
こんな感じ。
さらに、暖房で加温するもの、雨よけだけのハウス、カーテンの開け閉めで調整するなどさまざまな使い方があります。
何を、いつどのように使うかは、中学校の地理で学ぶ知識が必要に!
キーワードは促成栽培と抑制栽培
促成栽培と抑制栽培をキーワードにして検索をかけると、中学生向けの塾講師による「ポイント解説」のページがたくさん出てきます。大人になると忘れてしまいますね。ダメ。
そもそもビニールハウスを使って栽培をするのは、「露地野菜と旬をずらし、野菜の付加価値を高めて利益を上げる」ため。初ものが大好きな日本人は、江戸時代からすでに早めに実らせるテクニックを駆使していました。これを「不時栽培」と呼び、収穫されたものは高値で取引されたといいます。
最初は紙を利用していたそうな。
では、中学生の気分に戻って学んでみます。
【促成栽培】
初モノを先取りするように、早めに野菜を作るのが促成栽培です。だいたい、温暖なエリアでハウス栽培を行います。時期によって呼び名が細かく変わるのと、使われる資材が変わっていきます。
①促成栽培/トマトやピーマン、キュウリなど、一般的に夏に収穫するものを晩秋から春にかけて収穫するスーパーフライング栽培です。この場合はビニールハウスを収穫までずーっと加温し、保温し、完全防備で栽培します。そのため温暖な地域で行います。
②半促成栽培/3月前後から春ごろまで収穫できるタイプ。ハウス内に定植するものの加温が途中まででOKだったりします。暖房の程度は時期によってさまざま。
③早熟栽培/通常の収穫時期より1か月くらい早い、ちょっとだけフライング気味の栽培です。ハウス定植せず、最初だけトンネルがあれば大丈夫などの簡易な形でいけます。
【抑制栽培】
こちらは促成栽培とは逆に、旬を過ぎても収穫できるようにした方法です。高冷地など夏でも涼しい場所で種を蒔くなどして育て、出荷時期を遅らせます。
夏場の暑さから苗を守るために、ハウスを使って換気や遮光、遮熱したり、ミストを使って冷却するなど様々な方法が使われています。一方、種まきの時は露地で行い、ハウスに定植し、秋以降は保温しながら育てるやり方も。
促成栽培、抑制栽培ともに一年を通して野菜を出荷するための工夫ですが、秋冬に栽培する促成栽培が最もハウス管理のコストがかかるといえそうです。
ビニールハウスは固定資産税がかかるのです
ちなみにこのビニールハウスですが、固定資産税の一種である、減価償却税を支払う必要があります。
しかも、家のように自動的に納付書が送られてくるのではなく自己申告制。
あまり知られていない現状から、かなりの申告漏れがあります。
そんな状況の中。GREEN OFFSHOREは行政とタッグを組み、衛星画像を使ったビニールハウス検知システムを開発中です。
地図の画像を読み込むだけで、どこにどんなハウスがあるかを判断してくれるというもの。まだまだ途中段階ですが、AIを組み合わせながら楽しく開発を進めています。